ファッション

メゾンスペシャル

「メゾンスペシャル(MAISON SPECIAL)」は、日本のメンズ・ウィメンズ向けアパレルブランド。2019年3月上旬、サザビーリーグの子会社・メゾンスペシャルがオリジナルアパレルブランドとしてスタート。メンズ・ウィメンズ展開となるアパレルは、”ハイファッションとハイファクトリー”の相反するものを掛け合わせ融合させることをポイントにデザインされる。

今回のブログでは【メゾンスペシャル】というブランドの紹介をして行きたいと思う。

2020年 冬

おしゃれ迷子おじさん

UNIQLOのその先

2020年、30キロ近いダイエットに成功し、我が歴史上最も大きな変革が起きた年と言っても過言ではない。

ダイエットに成功した後であるから言える事ではあるのだが、痩せるということはカッコ良くなる為の途中過程でしかなく、私は痩せたことをきっかけにカッコ良くなりたいと強く願うようになっていた。

しかし、願うだけで変化が訪れないことはダイエット以前からわかっていること。何をするべきか考え、清潔感を出すために美容院や眉毛サロンへ通ったりファッションの理屈を勉強してみたりファッションインフルエンサーの動画を見漁ったり、様々な試みを始めた。※詳しくは以前のブログ参照

右往左往あれど少しづつ変化を遂げていく中で、ファッションに関しての悩みが一つ浮上する。

UNIQLO以外何を買っていいか解らなかったのだ

多くのファッションインフルエンサーは、おしゃれ初心者はUNIQLOを買うようにとお薦めしている。

私はそれにならってUNIQLOの服を買い漁り、自身の体型や雰囲気に何が合うのかある程度理解は深めていたが、その先の進み方が解らなかったのである。

UNIQLOの服は値段や品質ももちろん優れていたのだが、ファッションインフルエンサーが「これ」と示したものがそのまま手に入るというその再現性の高さがおしゃれ初心者にとってはとても有難かった。

しかしそれは同時に、多くの人が同じものを持っているという事を意味している。

その為、UNIQLOの製品はファッションアイテムとしての意味合いよりも教材としての意味合いが大きくなっていく。

小物で変化をつけるなど差別化を図るが、よりおしゃれになりたい、カッコ良くなりたいとの思いが強まっていき自然とUNIQLOのその先を見据えるようになっていった。

UNIQLO上下にペンドルトンのネックウォーマーにparabootsのコインローファー。これはこれでいいと未だに思う。

脱ファストファッション

【脱UNIQLO】をコンセプトに他ブランドを紹介している動画は沢山あったのだが、どれもしっくりこなかった。

どれも魅力を感じなかったという訳ではなく、動画内で紹介された服以外何を買えばいいのか全くイメージが湧かなかったのである。

「そんなもの自分で考えろ。」

と言われてしまいそうなところではあるが、ダイエットや禁煙、脱ギャンブル等、全てにおいて持論に頼らずプロに頼る事が成功の秘訣と信じていた為、現時点での自身のセンスに自信を持つことはむしろ危険な行為であると私は考えていた。つまり自身のセンスを信用出来るほどまだ学びは深めていないのだ。

兎にも角にも、UNIQLO・GUなどのファストファッションであれば失敗はそんなに怖くない。

教材として割り切れるほどの価格帯であるから、失敗しても「この失敗もいい勉強だった。」と思えるのだが、脱UNIQLO動画で紹介されている服の価格は、私にとっては「いい勉強だった。」とはとても思えない価格帯のものが多かったのである。例を挙げて具体的に言うと、UNIQLO:ニット¥3000 他脱UNIQLOブランド¥20000 位の差があった。

こう言うもんだと割り切れず、しかし友人もいない為誰かに相談も出来ず、悶々とした日々を送っていた所、とあるファッションyoutuberの方の動画の内容に興味を持った。

deptoms前原さんという方の脱UNIQLO動画。※この動画自体は1年以上前(2021年)の動画です

ターゲットの年齢層は20代から30代位。クラシカルかつ遊びのあるデザイン。価格帯はパンツで言えば¥20000以内程度。脱UNIQLOには条件が揃っているように感じたが、私にとっての決め手はそこではなかった。

「提案の仕方がスマートで、ゴリゴリ押し売りされる感覚がない。」

接客の素晴らしさを語っていたのである。

私のようなファッションビギナーからしてみれば、洋服屋の接客なのに提案という時点で割と違和感があるのが正直なところではなかろうか?お客の欲しがるものを提供して、さらに何か抱き合わせで売るために提案されるならそれは気弱な私からしてみれば勘弁してほしいものである。思えば、UNIQLOは店員さんから話しかけられることもなく落ち着いて買い物が出来たところもきっとファッションビギナーにとっては嬉しいポイントであったのだと思うのだが、一歩先へ進むためには乗り越えなくてはならない壁なのかも知れない。

その上で「提案の仕方がスマートで押し売り感が無い。」というのは安心であったし、寧ろ「解らないことを相談できる相手が見つかるかも知れない。」とポジティブに考える事とした。

当時住んでいた神奈川県は横浜駅の商業施設内に店舗があった為、とりあえず行ってみる事とした。

思えば

商品ではなく店舗に興味が湧いたのが、他にない感情であった。

初・メゾンスペシャル

一応私は、当時の私にとって最もおしゃれであると自認していたUNIQLO Uのトレンチコートとストレッチスキニーにハルタのスポックシューズを履いて店舗へ臨んだ。

横浜店は路面店ではなく商業施設内にあった為入りやすかった。

しばらく店内を見て回っていると1人の長身の店員さんが話しかけてきた。話しかけてきた内容自体は「何かお探しですか?」といった何ら他店と遜色ない声掛けであったと記憶している。

私はテンパり気味に

「ズボンが欲しいのですが何を買ったらいいのかまるで解らないんです。」

と正直すぎる気持ちを告げた。

選択の範囲が広い相談に対して、狼狽する人とそうでない人がいる。狼狽する人は早く答えが欲しい人だ。そうでない人は正しい答えが欲しい人だ。

この店員さんは決して狼狽することなく、持っている服はどんな色が多いか?等いくつかの質問をした後、早速試着室へ案内し、「とにかく履いてみましょう!」といったテンションでいくつかのパンツを持ってきた。

いくつかのといったが、この時確か6着ほどのパンツを持ってきたと思う。イメージが湧きやすいようにと、シンプルなシャツなども試着室内にいくつか持ってきたものだから試着室内は大混雑。試着室内に服が溢れそうになる経験は初めてであった。

ここから、メゾンスペシャルの店員さんの特殊というか、後に私が惚れ込む事になる接客技術が展開される事となる。

しばらく何着か試着を繰り返していると

「うーん。これはなんか違うかな。」

私は特にリアクションをとっていなかった(厳密には当たり障りのないリアクションを繰り返していた)のだが、私よりも先に店員さんが【この服は違う】と意見を述べてきたのである。

これは私にとって大きな衝撃であった。そもそも私が気に入っていたらどうするのであろう?と思うのだが、彼は変わらずに服を持ってきては着せて感想を述べ続けた。さながら着せ替え人形にでもなった気分である。(決して悪い気分ではなかった)

そして何着目かのパンツに足を通した時思わず声が出そうになった。

今まで履いてきたズボンのそれとはまるで違う、私の体に吸い付いてくるかのようで、それでいて私と共にさながら踊っているかのように揺れるその感覚に、思わず声が出そうになったのである。

「これっすね。」

私ではなく、店員さんが先に声を出した。

「これっすね。」

私も呟いた。

ちなみにこの時買ったパンツは未だに私のクローゼットの中では第一線を守り抜いている強キャラだ。

おそらくこの服に出会う前にきた何着かの服でも、多少押されれば私はいい物だと感じ購入に至った事であろう。しかし、きっとこの店員さんは私が声を出しそうになったあの瞬間を待った。その瞬間を紡ぎ出すために様々な組み合わせを体感させてくれたのであろう。

結局パンツに合わせてジャケットも購入し帰宅した。

帰宅するとショップのLINEからお礼のメッセージが届いた。私は

「生涯で一番かっこいい服が買えたと思っています。ありがとうございました。」

と返信した。勿論本心で。

その後

メゾンスペシャルは、顧客制とでもいうのだろうか?担当の店員さんがついてくれるのだが、最初に対応してくださった店員さんはすぐに異動となり他の店員の肩にバトンが渡された。

一抹の不安もあったが、その後の店員さんもその時私が履いている靴や、鞄などの小物との取り合わせからどんなものが似合うか、提案の理由などを併せて説明してくれる素晴らしい方であった。青山店へ異動になってからも、横浜よりも遠くなるものの行ける距離ではあったので、わざわざ通った。

商品・ホスピタリティ共にメゾンスペシャルの魅力にどっぷりハマっていった。

大阪へ

さぁ、そして私は大阪へ引っ越す事となる。

心斎橋にも店舗があった為メゾンスペシャルとはまだ関係は続くとホッと胸を撫で下ろし店舗へと向かう。

心斎橋店は路面店で1階がレディースフロア・2階がメンズフロアとなっている為、正直少し雰囲気としては入りづらい。青山店も同じ構造の路面店であったが、担当店員さんと連絡を取ってから店舗へ行っていた為入りやすかったのだが、心斎橋店には担当してくれる店員さんはまだいなかった為なかなかに入る為のハードルが高く感じてしまう。

しかし、この店舗のマネージャーさんである丁村直樹さん(名前を載せる許可はいただいております。)はインスタグラムでよく見かけており、明るく話しやすそうな雰囲気を感じていた為足を踏み入れることに抵抗はなかった。

そして丁村さんが接客してくださったのだが、イメージ通り話しやすい方でとても安心した。そして以前は関東のメゾンスペシャルに通っていた旨を話し、最初はアクセサリーを購入し店を後にした。

心斎橋店での最初の買い物から、だいぶ時間が空いた。引っ越したばかりであることもありお金に余裕があまりなかったのだ。

季節も夏から冬へと変わり久々にメゾンスペシャルで服を買おうと店へと向かう。

丁村さんが私のブログやインスタグラム、YouTubeなどチェックして下さっていた事にまず驚かされた。なんてマメなのだろう。

そして色々と迷っている際にさらに驚かされることとなる。

「こちらの服なんかは、アキラさんが持っていらっしゃるジャケットなんかと併せていただいても・・・。」

「後は、お持ちのコートに併せて・・・。」

おいおい

ちょっと待て

何で私の今までの購入品をそこまで把握しているのだ。

もはや腰が抜けそうになった。

勿論薦められた服は素晴らしく、購入に至った。

ただの接客ではない

彼らは、ただ接客をしている販売員ではなく、ある種スタイリストとしての使命感を持っていると私は思う。

ファッションビギナーには願ってもない特典である。ある程度自我が芽生えてきた現在の私であるが、客観性は限りなく有用なアドバイスであるからして、本物のプロとして頼りにしている。

接客というのは決して客の先を行っていけない。

そういった意味で言えば、きっとこの店がお気に召さない人もいるかもしれない。単純に話しかけられることが苦手な人もたくさんいる事であろう。

しかしながら私はこの店と接客が好きでたまらない。

メゾンスペシャルの紹介というには些か私情のみで突っ走った感があるがこれからもお世話になるであろうこの店を多くの人に私は知ってほしい。

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